雨あがる

  • 秦健二 1996年4月入社(当時/25歳)
  • 吉武をはじめとする営業の努力の甲斐もあり、少しずつ、本当に少しずつ契約が取れはじめた。そうなると今度はアフターフォローの問題が出てくる。水漏れや故障をはじめ、寒冷地での凍結など、予期せぬトラブルが全国各地で多発したのだ。そこで活躍したのが、生産管理を担当していた秦健二である。秦は当時入社3年目。エンジニア3人の1年先輩であった。工場に「ロットトレース」の概念を導入し、製品にシリアルナンバーを刻印。トラブルが起こった際、どこに問題があったのかを調査しやすく改善。また、作業マニュアルの策定などにも取り組み、生産効率の向上、歩留りの向上に大きく貢献した。開発の3人はさらなる品質向上に挑み、吉武は販路拡大とサポート体制の強化に挑み、秦は生産体制・品質管理体制の確立に挑んだ。それぞれが市場を切り拓くために必死だった。
  • そんなとき、開発メンバーの田中章太郎が営業として東京へ行くことに。「手掛けた製品がどんな評価を受けるか、自分の肌で感じて来い」髙城社長に言われたことがきっかけだった。しかし、周囲の予想に反して、田中は東京で大手マンションディベロッパーとの契約を勝ち取る。製品開発に懸けた想いを、情熱を、真剣に話した結果だった。聞けば、約200戸の新築マンションに導入するという。それは業界の地図を塗り替える、快進撃の序章であった。これまで不可能と思われていたこと。誰もが、挑戦すらせずに投げ出していたこと。彼らは疑うことなく、「できる」と言った。これこそが、タカギに求められる資質である。
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